いつか日本で稽古がしたい！ベトナム空手大会チャンピオンにインタビュー

みなさん、初めまして！
ダオ・ティ・フオン（ベトナム語：Đào Thị Hương）と申します。
周りの友達からはあだ名でXuと呼ばれています。
なのでぜひXuと呼んでください。
フート省(Phú Thọ)出身です。
どうぞよろしくお願いします！（キリッ）

こちらこそよろしくお願いします！

私が習ったのは伝統空手の方です。
組手を主に練習していました。

はい。
伝統空手とは、大きく言えば「直接打撃を避けた空手」の総称です。
つまりは「寸止め」です。
ちょうど今年の東京オリンピックの種目になった空手は、この「伝統空手」の方です。
伝統空手では主に礼節や哲学を重視し、実践空手と比べると型の種類が多いのが特徴です。
岡部さんが見た伝統空手の組手の試合では、制限時間内にとったポイントによって勝敗が決まります。
この点で相手を倒すことで勝敗が決まる実践空手の組手の試合と異なります。

先ほど「寸止め」とは言いましたが、実際は普通に当たっちゃいます（笑）。
防具をつけて試合に臨みますが、当たるとやっぱり痛いですよ。

ありますよ。
でも伝統空手と比べると教えているところはすごく少ないと思います。

小さい頃に「ジャッキーチェン」や「ブルースリー」などの香港アクション映画にハマったのがきっかけです。
映画を見て、私も格闘技がしたいとよく父に言っていたのを覚えています。
チャンスが訪れたのは中学校に上がった時でした。
後に私の空手の師匠となる先生が、フート省(Phú Thọ)空手の特別強化選手のスカウトに、私の中学校までやって来たのです。
私もその選抜テストに応募して、合格をもらうことができました。
それから両親にお願いをして、フート省(Phú Thọ)のスポーツエリートアカデミーに入る事を認めてもらいました。

そうなのです。
私の地元で空手を習うにはこの手しかありませんでした。
このスポーツエリートアカデミーは私の実家から遠く離れた都市部にあり、家から通うことは不可能でした。
なので中学校もアカデミーの近くの学校に転校し、両親から離れてアカデミーの寮で生活を始めました。

はい、とっても大変でした。
学校に通いながら、アカデミーでも稽古をする生活を中学・高校の６年間ずっと続けていました。

このような感じでした！

確かに軍隊のように厳しく、大変な毎日でした。
携帯電話も没収されるのです。
返してもらえるのは日曜日だけ…

ありますよ。
基本的には毎週水曜日と日曜日のそれぞれ午後が休みでした。

いいえ、先生はベトナム人でした。
ベトナムの空手界で有名な方です。
日本人の空手家から直接習ったことはまだありません。
でも携帯電話が返却される日曜日に、YouTubeで世界選手権大会などの試合に参加している日本人の映像を見てよく勉強していました。

そうですね。
基本的にはベトナム語で練習していました。
ただ技や型の名前、挨拶や号令、試合での用語（有効、反則、始め、止め…など）は日本語を使います。

学年による上下関係はありません。
少なくとも私のアカデミーではそうでした。
上下関係があるとすれば、それは先生と学生との間だけです。
学生は学年など関係なしにみな平等です。
掃除もみんなで分担で行いますし、先輩が後輩に荷物を持たせることもありません。
むしろ先輩は後輩を積極的にサポートします。
練習から生活面まで先輩は後輩の面倒をみるのが普通ですよ。

日本の武道に共通して言えることだと思いますが、空手も礼儀を重んじる武道です。
挨拶や礼儀作法、道徳、規律、先生や審判、仲間や対戦相手を敬う心などの日本人の精神が好きなんです。
そして体力はもちろんのこと集中力や忍耐力も身につきます。
心身共に強くなるというのは日本の武道の特徴だと思いますし、とても好きです。

私は体が小さいので、力の強さや動きのダイナミックさは体が大きい人には及びませんが、スピードと技術の正確さには自信がありますよ。

蹴り技が好きです。
中でも回し蹴りと飛び回し蹴りが特に！あ、２つになっちゃいましたね（笑）

有名だと思います。
空手という名前を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか。

日本と大体同じですよ。
でもベトナムの学校には日本のような部活動はありませんから、習い事として習う人達がほとんどです。
大学によっては空手サークルがあったり、空手を必修科目にしている学校もあります。

はい。
実はベトナムでは空手はまだ新しいスポーツなのです。
空手がベトナムで始まったのは１９６０年代と言われています。
そして本格的に始まったのが９０年代後半から２０００年代初頭です。
なので指導者も競技者も比較的若い人が多いです。

大会や遠征に行く時が一番楽しかったです（笑）
普段は旅行なんてあまりできませんから。
ダクラク省、トゥアティエン・フエ省、ゲアン省、ハノイ市、バクニン省…などに行きました。
大会や遠征が終わった後に、現地の人達と触れ合ったり、観光できたのが楽しかったです。

今は稽古に行けていませんが、学業や新型コロナウイルスが落ち着いたらまた空手の稽古をしたいです。
それから私は今日本語を勉強しているのですが、日本語をもっともっと勉強して、いつか日本へ行って日本人の皆さんと空手の稽古ができたらと思います。